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国際社会学会@メルボルンに参加しました!①

2023年6月24日〜7月2日まで、国際社会学会(第20回ISA World Congress of Sociology)に参加するため、オーストラリアのメルボルンに行っておりました。


国際社会学会は、コロナ前の2019年にカナダのトロントで開催された第19回大会に参加しましたが、その時はお客さん参加で、特に発表もしませんでした。

色々と他の人の発表を聞きに行ったり(スペイン語セッションをスマホの音声翻訳を駆使して聞いてみたり)、海外の出版社の本を買い漁ったり、それもそれで楽しかったのですが、学会である以上やっぱり報告はしたいなぁということで、今回は発表すべく応募しました。

しかもちょうど、RC39(リサーチコミッティ)Disaster Sociologyのセッションで、災害と犯罪についてのセッションをやるとのことで募集が出ると話を聞き、申し込んだところ、OKいただきまして発表させていただけることになりました!




発表概要は以下のとおりです。



One of the main factors that make research on crime and crime prevention in the affected areas difficult is the history of crime statistics data that have not been publicly available. Studies have shown that the number of crimes is expected to increase after the disaster. Research on crime in disaster-affected areas in Japan has focused on surveys of crime victimization among survivors, but this has its limitations. In Japan, open data on seven types of theft crimes have been conducted by each metropolitan and prefectural police department on a pilot basis since 2018. This study attempts to elucidate the actual crime occurrence in the affected areas in Japan in a triangulation manner. The analysis was conducted using three types of data: power outage data from Typhoon No.15 in 2019, open data on property crime by the police, and data from an online survey asking about crime victimization experiences during and after the typhoon. Crimes that occur in disaster-affected areas can be broadly classified into the following three categories:

Impoverished-type crimes occur due to a lack of relief supplies.

Phoretic-type crimes, such as fraud and illegal payments, take advantage of the chaos.

Stress-type crimes are accelerated by drug addiction, alcohol and other substances, and domestic violence due to the stress of evacuation life.

Although only seven types of property crimes are currently available in the open data, some of them can be categorized as convenience-type crimes, such as burglary and breaking, or stress-type crimes, such as damage to property. This study will examine the impact of social change, such as disasters, on offense.


被災地域における犯罪と犯罪防止に関する研究を難しくしている主要な要因の一つは、一般に公開されていなかった犯罪統計データの歴史である。研究によれば、災害後に犯罪の数が増加すると予想されている。日本における被災地域における犯罪に関する研究は、生存者による犯罪被害の調査に焦点を当ててきましたが、これには制約がある。2018年以来、日本の各都道府県警察署による7種類の窃盗犯罪に関するオープンデータが試験的に実施され始めた。この研究では、日本の被災地域における実際の犯罪発生を三角測量的に明らかにしようと試みた。分析は、2019年の台風第15号による停電データ、警察の財産犯罪に関するオープンデータ、台風中およびその後の犯罪被害経験について尋ねるオンライン調査から得られたデータの3つの種類を使用して行った。災害における被災地域で発生する犯罪は、次の3つのカテゴリーに広く分類できる:

救援物資の不足による困窮型犯罪

混乱を利用した詐欺や不正な支払いなどの便乗型犯罪

薬物中毒、アルコールなどの物質、避難生活のストレスによる家庭内暴力など、ストレス型犯罪

現在、オープンデータには窃盗や不法侵入などの便乗型犯罪や、財産に対する損害などのストレス型犯罪に分類されるものが含まれている。この研究では、災害などの社会的変化が犯罪に与える影響を検証する。


災害と犯罪というなかなかニッチなセッションでしたが、ハイブリッド型で4名の報告者が発表していました(とはいえ、私以外は全員自分の国からのオンライン参加)。 メキシコ、プルトリコ、中国と、国際学会らしくバラバラの地域からの参加でした。


中でも面白かったのは、メキシコの漁師と麻薬密売の話。

儲けのために大量の漁獲を行ったゆえに近海での漁獲高が減り、より沖合での漁を行うようになったところ、麻薬カルテルの麻薬密売ルートと重なってしまい、さらに災害(2017年の地震)が起きたことでより困窮状態に陥った漁師たちは、麻薬カルテルの下請けとして麻薬の運び屋として収入を得るようになったそうな。

日本の被災地で(麻薬に関することかは置いておいて)、全く起こり得ないことではないなと思いながら聞いていました。



メルボルン自体は、ウォーターフロントのコンパクトな街で、過ごしやすい街でした。一緒に参加したS氏が、歴史的な発展の流れや産業構造なども含めて、大阪に似ていると指摘されたのにすごく納得。なぜか落ち着くというか、親近感が湧く街だなと感じました。

空いている時間にちょこちょこ観光名所も回ってきましたが、それについては別記事で。

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